三島市で土地を買う前に必ず知っておきたい「がけ条例」とは?

静岡県がけ条例 実践ガイド、建築基準条例第10条のポイント。背景には緑豊かな斜面に建つ、コンクリート基礎と木材・ガラスを組み合わせたモダンな住宅の写真。

三島市で土地探しをしていると、内見や調査のタイミングで「この土地、がけ条例が関係するかもしれません」と言われることがあります。

でも、がけ条例って言葉だけ聞くと不安になりますよね。

「この土地、家が建てられないの?」

「追加で工事費がかかるの?」

「そもそも何を確認すればいいの?」

と、頭の中が一気にいっぱいになってしまう方も多いです。

そして厄介なのが、よく分からないまま話を進めてしまうこと。

がけ条例の影響を見落としたまま土地を決めてしまうと、あとから

  • 建てたい位置に家が入らない(配置が制限される)
  • 擁壁(ようへき)や造成工事が必要になり、予算が膨らむ
  • 申請や設計のやり直しで、着工が遅れる

といった“想定外”が起きる可能性があります。

実際に三島市でも、眺望が良い土地やひな壇の分譲地などは魅力的な反面、段差や擁壁が絡みやすく、「申込後に気づいてプランを組み直した」というケースは珍しくありません。

土地の価格だけで見ると魅力的でも、総額で考えると判断が変わることもあります。

ただ、ここで安心してほしいのはがけ条例=買ってはいけない土地、ではないということです。

大切なのは、契約前に「対象かどうか」と「対策の選択肢」を整理して、安全性・費用・スケジュールを見える化することです。

そこでこの記事では、三島市で注文住宅を建てる前提で土地を選ぶ方に向けて、がけ条例の基本(まず何を確認するか)から、土地購入前に押さえるべきチェックポイントまで、できるだけ分かりやすく丁寧に解説していきます。

アイ子さん

がけ条例って難しそうで…。結局、私は何をすればいいですか?

たかの

大丈夫です。まずは“その土地が対象か”を確認して、次に“どんな対策があり得るか”を順番に見ていけば、落ち着いて判断できますよ。

「がけ条例」は“命”だけじゃなく“財産”も守るためのもの

「がけ条例」の重要性と対象範囲を説明する図解。土砂災害防止法との違い(目的と対象区域)を比較

がけ条例は、怖がらせるためのルールではありません。

目的はシンプルで、崖崩れのリスクから「命」と「財産」を守ることです。

ここでよくある誤解がひとつあります。

アイ子さん

土砂災害警戒区域に入ってないなら、がけ条例は関係ないですよね?

たかの

土砂災害防止法は“指定区域”が対象ですが、がけ条例は“県内全域が対象”という考え方なので、指定外でも関係するケースがあります。

つまり、ハザードマップだけで判断せず、土地の形(高低差・斜面・擁壁)も見ていくのが大切です。

Step1:そもそも、その土地は“がけ”に該当する?

がけ条例の対象となる基準(高さ2m超・勾配30度超)を説明する図解。自然がけや擁壁の有無、敷地内外を問わず適用される判定基準を解説

ここは難しく考えなくて大丈夫です。

まずは「がけ扱いになりやすい目安」を知っておきましょう。

静岡県建築基準条例10条(がけ条例)では、がけの定義を次のように定義しています。

  • 高さ:2mを超える
  • 勾配:30°を超える

アイ子さん

2mって意外とありますね…。

たかの

そうなんです。三島市内では道路から敷地が“ひな壇”で上がっているだけでも、2m近い段差が出ることがよくあります。

そして、ここで大事なのは“自然の斜面か、擁壁があるか”だけで判断しないこと。

この段階のゴールは、完璧な判定ではなくてOK。

まずは「この土地、がけ条例チェックが必要そうだな」と気づければ十分です。

MEMO

静岡県が公開している静岡県建築基準条例第10条の解説でも“自然がけかどうか、擁壁の有無、敷地の内外に関わらない”という補足があります。

詳しくは静岡県の公式サイトをご確認ください。

Step2:建物が“2H以内”に入るか?

がけ条例の対象基準(高さ2m超・勾配30度超)の解説図。自然がけや擁壁の有無、敷地内外を問わず適用される判定条件のまとめ。

Step1でがけの可能性が出たら、次に見るのがこれ「2Hルール」です。

考え方はシンプルで、

がけの下端から建物までの水平距離が、がけの高さ(H)の2倍(2H)以内に入るかどうか

ここが “規制対象になるかどうか”の分かれ道 です。

アイ子さん

2H以内だと、もう建てられないんですか?

たかの

“建てられない”と決まるわけではありません。ただ、対象になると“安全対策が必要になる”可能性が高くなります。

注文住宅の土地選びで、ここが大事な理由は以下の3つではっきりしています。

  • 建物の位置がズレる(間取り・駐車場計画が変わる)
  • 造成や擁壁の検討が入る(予算が動く)
  • 申請に必要な資料が増える(時間が動く)

だからこそ、契約前に「2Hに入るかどうかの当たり」を付けておくのが安心なんです。

対象になっても大丈夫。対策は3つの基本アプローチ

がけ条例への対策における3つの基本アプローチをまとめた図。「がけ自体の安全化(擁壁など)」「建物の設計による対応(深礎・RC造・防土壁)」「安全な距離の確保(離隔)」の具体的な手法を紹介

「対象かも」と聞くと、どうしても身構えてしまいます。

でも、安心してください対策をとても分かりやすく3つに整理して解説します。

Approach.1
がけ自体を安全にする
・安全な擁壁を設置・確認する
・「堅固な地盤」として安全性を証明する
Approach.2
建物の設計で対処する
・(がけ上)基礎を深く定着させる
・(がけ下)RC壁や防土壁で備える
Approach.3
安全な距離を確保する
・がけから離して建物を配置する

アイ子さん

…選択肢があるって分かるだけで、ちょっと安心しました。

たかの

そうですよね。ここからは、土地購入の場面で現実的に選ばれやすい順に、やさしく説明していきます。

対策①:まずは擁壁の話

がけ条例対策としての擁壁(新設・既存)の確認ポイント。RC造や重力式擁壁の技術基準、既存擁壁の安全性検証(検査済証、ひび割れやはらみ出しの外観チェック、管理者確認)の方法を解説。

土地購入で現実に一番影響が出やすいのが、擁壁(ようへき)です。

まず「安全な擁壁を設置・確認する」が最初の対策として有効となります。

新設擁壁(これから作る場合)

設計・施工がしっかりできれば、安心材料になります。

既存擁壁(すでにある場合)

ここが落とし穴になりやすいです。

既存擁壁は 安全性の“証明”が必要です、確認するポイントは以下の3つです。

  • 書類確認:検査済証など根拠資料があるか
  • 外観確認:ひび割れ/はらみ出し/傾きなど)
  • 管理者確認:誰が管理する擁壁か(公共管理か等)

アイ子さん

擁壁って、見た目がきれいなら大丈夫じゃないんですか?

たかの

「見た目がきれい=根拠が揃っている」とは限らないんです。土地代が安く見えるときほど、ここは丁寧に見たいポイントです。

対策②:「堅固な地盤」として安全性を証明する

擁壁なしで建築可能な「堅固な地盤」の勾配基準表。軟岩(60度)、風化岩(40度)、砂利・関東ローム等(35度)の土質別基準と、必須書類である「地盤調査報告書」の重要性を紹介。

次に考えられる対策は、がけの地盤自体が安定しているなら、擁壁が不要になることがあるという考え方です。

ただし、ここは“気持ち”では通りません。

必要なのは 客観的なデータで、

  • 土質ごとの目安(許容される勾配のイメージ)
  • 必須書類:地盤調査報告書

を明確にする必要があります。

アイ子さん

工事じゃなくて、調査で済む可能性もあるんですね。

たかの

はい。だからこそ、契約前に“どっち寄りの土地か”を見ておくと、予算の組み方が変わります。

対策③:建物の設計で対処する(注文住宅だからこそ“選べる”)

ここは少しだけ専門的ですが、要点だけ押さえれば大丈夫です。

注文住宅の良さはまさにここで、土地に条件があるときでも、設計の工夫で“成立させられる可能性”がある という点です。

もちろん「設計で全部解決できる」と言い切れるわけではありません。

ただ、選択肢を知っておくだけで、土地選びの見方が変わります。

がけ上:基礎を深く定着させ、がけへの影響をなくす

がけ条例対策:がけ上の建物基礎を深く定着させる設計。土質に応じた勾配線(安息角)より下の安定地盤まで支持杭を到達させ、がけ面に荷重をかけない工法の図解。

まず「がけ上」とは、崖の上側に家を建てるケースです。

このときの心配は、ざっくり言うとこうです。

  • 家の重さが崖側の地盤にかかる
  • その影響で地盤が変形したり、崖の安定性に悪影響が出たりする
  • だから、“崖に影響を与えない形で建物を支える”必要が出る

建物荷重(家の重さ)を、安定した地盤まできちんと伝えるという考え方です。

注文住宅の場合、この対策が現実的になるのは、

  • 建物をどうしてもこの位置に置きたい
  • 配置をずらすと間取りや駐車計画が成立しない
  • 造成・擁壁より、建物側の対応のほうが合理的

といったケースです。

ただし当然、杭や基礎を強くすればコストが上がることもあります。

だからこそ、「土地代が安い」だけで飛びつかず、建物側で必要になりそうな対策費も含めて総額で判断するのが大切です。

がけ下:基礎を深く定着させ、がけへの影響をなくす

がけ下の建築対策:崩壊土砂の衝撃に耐える設計。建物の外壁を鉄筋コンクリート造(RC造・開口部なし)にする方法と、独立した防土壁(防護壁)を設置する方法の図解。

次に「がけ下」は、崖の下側に家を建てるケースです。

ここでの考え方は、

万が一、崖が崩れたとき土砂が建物に当たる方向(=崖側)に耐えられる壁や防ぐ壁を設ける

とてもシンプルです。

方向性として外壁をRC(鉄筋コンクリート)にする、あるいは 防土壁を設置する といった対応が必要になります。

ただし、ここで大きな注意点としては原則、開口部を設けないという点です。

つまり、崖側の壁に

  • 大きな窓
  • 掃き出し窓
  • 出入口

などを作るのが難しくなる、という可能性が出てきます。

アイ子さん

窓が作れないって…生活に影響が出そう

たかの

そうなんです。だから設計で解決は万能ではなく、土地の使い方と暮らし方をセットで考えるのが大事です。

たとえば、崖側に窓が作れない可能性があるなら、

  • 採光は反対側・上部(高窓)で確保できるか
  • LDKの向きを変えると暮らしやすいか
  • 崖側は収納・水回り・階段など“窓が不要なスペース”に寄せられるか
  • 外構(庭・アプローチ)と合わせて動線が成立するか

など、間取りの作り方そのもので解決できる場合もあります。

ただ、ここで無理をすると「住みにくさ」に直結してしまうので、設計士さんと一緒に、安全性と暮らしやすさの両立を丁寧に検討するのがポイントです。

費用感の入口:必要高さの簡易算定

がけ下建築で必要な防護壁の高さの簡易算定式 $h' = S / X$。がけの高さ(H)から導く土石等の断面積(S)と、がけ下端からの距離(X)を用いた計算方法と数値表。

必要高さを簡易に見積もる考え方としてh’=S/X が整理しています。

購入者が細かい計算をする章ではありませんが、感覚としてはこうです。

  • 建物までの距離 X が短いほど
  • 必要高さは大きくなりやすい

→つまり工事規模が増えやすい

「土地の安さ」と「工事の大きさ」が逆転しないかを見るときに役立ちます。

がけ対策の費用は、ざっくり言うと受け止める規模が大きいほど増えやすい傾向があります。
たとえば、

  • 防土壁を高くする
  • RC壁を厚くする
  • 擁壁をしっかり造る
  • 排水や基礎を追加する

こういった話は、結局「規模」に引っ張られます。

だからこそ、最初に建物とがけの距離が近いのか?土砂のボリュームが大きそうなのか?この2つで、「小さく収まりそうか/大きくなりそうか」の当たりをつけることができます。

対策④:がけから安全な距離をとる

がけ条例の緩和条件。過去のデータに基づき、がけ上端から10m以上、またはがけ下端から50m以上の離隔距離を確保することで構造的対策が緩和される基準。

がけ条例の対策というと、擁壁やRC壁など「工事」の話をイメージしがちですが、実は一番わかりやすくて、気持ち的にも安心しやすいのがこの方法です。

過去の崩壊事例のデータを踏まえた距離の目安がこちら

  • がけ上:がけの上端から10m以上
  • がけ下:がけの下端から50m以上

現実には三島市内の敷地条件で難しいことも多いですが、注文住宅では配置の工夫が効くこともあるので、最初に検討しておく価値が高いです。

確認申請に必要な添付図書

がけ条例の話は、つい「距離」「擁壁」「構造」など“現地の話”に意識が向きがちです。

でも、注文住宅の土地選びで本当に大事なのは、最後のここ。

「安全です」と説明できる資料が揃うかどうかです。

この添付図書は、単なる“書類作り”ではなく、こういう意味があります。

「この土地に、こういう対策をすれば安全に建てられます」それを行政・確認機関に“客観的に示す”ための材料なのです。

だからこそ、土地購入の段階で「この土地は資料が揃いそうか?」を見ておくと、後で安心です。

がけ条例に関連する確認申請の添付書類一覧。配置図(H・2H明示)、擁壁の検査済証、地盤調査報告書、基礎断面図、崩壊土量の算定根拠資料などのまとめ。

共通で大事なのが、がけ位置・高さH・水平距離(2H)を明示した配置図が必要になります。

その他、選択した対策に応じて、安全性を証明するため以下の図書を添付します。

  • 既存擁壁・・・検査済写し/外観所見
  • 堅固な地盤・・・地盤調査報告書
  • 基礎定着・・・断面図
  • RC壁・防土壁・・・算出資料/構造計算書

アイ子さん

資料が薄い土地って、買っちゃダメですか?

たかの

ダメ、という話ではありません。三島市は昔に造成された分譲地も多くて、資料が残っていない土地のほうがむしろ一般的だからです。

大事なのは、買う・買わないを“資料の有無”だけで決めるのではなく、資料が薄い=『追加で確認することが増える土地』として、最初から段取りを組むことです。

具体的には、

  • 何が分からないのか(擁壁の根拠? がけの高さ? 地盤?)を整理して
  • 誰に・何を確認すれば埋まるのか(役所/現地測量/地盤調査/専門家チェック)を決めて
  • 予備費と時間を確保して、契約条件にも反映する

この3つができれば、資料が薄くても前に進めます。

逆に一番つらいのは、『資料がないけど、たぶん大丈夫だろう』で契約して、後から想定外の工事や設計のやり直しが出て、資金もスケジュールも苦しくなるパターンです。

まとめ

今回は、三島市で土地・中古住宅を購入する前に知っておきたい「がけ条例」について、買う前に迷わない判断手順に沿って整理しました。

三島市は「富士山の溶岩台地」「黄瀬川の扇状地」「狩野川水系の沖積低地」が重なり、箱根・愛鷹の山すそにつながる地形のため、ひな壇分譲地や川沿い段丘など“高低差のある土地”が多いのが特徴です。

だからこそ、良さそうに見える土地ほど、がけ条例の確認が効いてきます。

後悔しないために大切なのは、次の3つです。

  • 判断:その土地は“がけ”に当たりそうか/建てたい位置が「2H」に入りそうか
  • 選択:配置で逃げる・擁壁で安全にする・地盤/建物で対策する…どの方針が現実的か
  • 立証:確認申請で必要になる資料(配置図や根拠資料)が“契約前に揃いそうか”を見通す

不動産購入で失敗しないために、しっかりとお客様自身で知識を増やすことも大切です。

しかし、現地条件や既存擁壁の状態、資料の有無などは一つとして同じものがありません。1人で全部行おうとすると、限界があります。

そのため、お客様に合った適切な提案をしてくれる不動産会社は、不動産の売却においてとても重要なパートナーになります。

しかし、選んだ不動産会社が、がけ条例に対して適切な方法を知らない不動産会社だったとしても、不動産の専門知識を持たない一般の方にとって、提示された提案が全てのように感じてしまいますよね。

そこで、今回身に付けた知識で、不動産会社から提示された提案が適切な根拠のあるものなのか見分けましょう。

不動産の売却を成功させるためにも、信頼できる不動産会社を見つけることをお勧めします。

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