この記事の要点(30秒でわかる)
  • 三島市の住宅地の公示地価は、2025年(令和7年)の▲0.1%から2026年(令和8年)は+0.3%へ、マイナスからプラスに転じました。
  • ただし、上がっているのは駅近だけです。
  • 2026年7月1日時点の基準地価でも、三島市の住宅地は+1.1%でした。基準地を価格で分けると、坪40万円以上の地点は平均+2.7%、坪20〜35万円台の地点は平均+0.3%とほぼ横ばいです。
  • 新たに売りに出る物件は、市内全体で増えています。それでもすぐ決まるのは駅近の土地と中古マンションで、坪20〜35万円台のゾーンには問い合わせがほとんど入りません(この記事では、この価格帯を「郊外」と呼んでいます。町名ではなく価格帯で分けています)。
  • 郊外は、内見まで進んで断られるのではありません。価格を見た時点で、電話もメールも入らないのです(当社が三島市内で扱っている売買のなかでの実感で、公表統計ではありません)。
  • 買い手の予算を小さくしているのは、ご本人のご希望ではなく金融機関の審査です。毎月10万円の返済で借りられる額は、金利0.40%と1.20%とで約490万円の差が出ます(当社試算)。
  • いま最も注意が必要なのは、市全体の平均を基準に強気の値付けをしている、坪20〜35万円台のゾーンの売主です。
  • フラット35(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下)の最低金利は年3.460%まで上がりました。変動金利も引き上げが続き、最優遇金利が1%を超える銀行が出てきました。
  • ご自身の町がどのあたりの価格帯なのかは、三島市の土地相場・地価マップで確認できます。

アイさん

金利がずいぶん上がったと聞いたんじゃ。
金利が上がれば、土地の値段は下がるもんじゃろ?

たかの

教科書ではそのとおりです。ところが、三島の数字は逆を向いています。金利は上がりました。それでも三島市の住宅地の公示地価は下がっていません。

アイさん

ほう。
なら、わしの土地も上がっとるんかい?

たかの

そこが分かれ目です。「三島の地価」とひとくくりにすると、いちばん大事なことを見落とします。
同じ市内でも、いま起きていることは価格帯によって大きく違います。
この1年で変わったのは、お客様がおっしゃるご希望の予算ではありません。審査で減額されて戻ってくることが増えた、というほうです。
そして価格の低いゾーンの物件は、内見で断られるのではなく、そもそも問い合わせの電話が鳴りません。
金利がどこまで上がり、買い手が借りられる額がどれだけ削られたのか。そのうえで三島の土地に何が起きているのかを、順番にご説明します。
この記事の情報について

公示地価や金利などの公表数値は、本文の該当箇所に出典を記載しています。売り物件の増減、問い合わせの入り方、審査で減額されるケースといった記述は、有限会社アイ企画が三島市内で行っている不動産売買のなかで実際に起きていることで、公表統計ではありません。

もくじ

金利はどこまで上がったのか|三島の売主が知っておくべき水準

日銀の政策金利は1.25%になりました

日本銀行の政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標)は、2025年12月19日に0.50%程度から0.75%程度へ、2026年6月16日に0.75%程度から1.0%程度へ、さらに2026年9月18日に1.0%程度から1.25%程度へ引き上げられました。

6月から3か月での再利上げです。それまで半年ほど空いていた利上げの間隔が、短くなりました。

1%台の水準は、1995年以来およそ31年ぶりです。

ゼロ金利、マイナス金利と呼ばれた時代は、すでに過去のものになりました。

出典

日本銀行「金融政策決定会合」公表資料(2025年12月19日、2026年6月16日、2026年9月18日)より。1%台の水準が1995年以来であることは、日本銀行が公表する政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導目標)の推移にもとづく当社の確認です。2026年9月28日時点の情報です。

借りる側から見た金利(2026年9月適用分)

種類 2026年9月の水準 備考
フラット35(21〜35年・融資率9割以下の最低金利) 年3.460% 8月の3.290%から0.170%上昇。2017年10月以降で最も高い水準です。金融機関により年3.460%〜5.690%の幅があります
変動金利・三菱UFJ銀行(新規借入の最優遇) 年1.195% 0.945%から0.25%引き上げ(2026年8月31日発表)
変動金利・三井住友銀行(新規借入の最優遇) 年1.525% 1.275%から0.25%引き上げ(2026年8月31日発表)
変動金利・みずほ銀行/りそな銀行(新規借入の最優遇) 年1.025%/年0.950% りそなは、まだ1%を下回る水準です
長期金利(新発10年物国債利回り) 3%台(2026年9月下旬) 固定金利の水準に影響する指標です。9月1日に3.000%をつけ、その後も3%台で推移。約30年ぶりの高水準
出典

フラット35は住宅金融支援機構が公表した2026年9月適用金利(日本経済新聞 2026年9月1日報道)。年3.460%は借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下の最低金利で、現行制度となった2017年10月以降で最も高い水準です。金融機関により年3.460%〜5.690%の幅があります。変動金利は時事通信 2026年8月31日配信より。長期金利は日本経済新聞(2026年9月1日ほか)より。
※変動金利の最優遇金利は、所定の条件を満たした場合の金利です。実際の適用金利は審査結果により異なります。金利は毎月見直され、実行日時点の金利が適用されます。詳しくは各金融機関にご確認ください。

変動金利の水準も、2026年9月に上がりました

はじめにお伝えしておきます。変動と固定のどちらが向いているかは、借入額・返済期間・ご家庭の事情によって変わります。当社が判断できる領域ではありませんので、金融機関やファイナンシャルプランナーにご相談ください。

そのうえで、水準の変化だけをお伝えします。三菱UFJ銀行と三井住友銀行は2026年8月31日、9月適用分の変動型の最優遇金利をそれぞれ0.25%引き上げると発表しました。日銀の6月の利上げを受けて、短期プライムレート(銀行が優良企業に短期で貸し出すときの基準金利)が上がったためです。

一方で、りそな銀行は0.950%と、まだ1%を下回っています。変動金利の最優遇金利が1%を超える銀行が出てきた、という段階です。

2020年前後に0.4%台で借りた方と、2026年9月に新規で借りる方とでは、同じ「変動金利」という名前でも水準が異なります。「変動」という同じ言葉が指している中身が、この数年で入れ替わっています。

では、この金利上昇は三島の不動産にどう効いているのか。

先に効いたのは、価格ではありません——買い手が借りられる額のほうです。

同じ返済額で借りられる額が、約490万円小さくなります(試算)

この章の金額は、いずれも当社が計算した参考値です。売る側から見れば、試算のうえでは、問い合わせをしてこられる方が用意できる金額の上限が、以前より小さくなっているということです。

金利が上がると、先に動くのは「借りられる額」です

不動産の教科書には、金利が上がれば不動産価格は下がる、と書かれています。土地や家を買う方の大半が、住宅ローンを使うからです。

金利が上がったとき、返済に効いてくるのは主に2つです。毎月の返済額が増えるか、借りられる額が減るか。

頭金を増やす、返済期間を見直すといった選択肢もあります。ご自身の場合にどれが取れるかは、金融機関にご確認ください。

そのうえで、現場で先に来るのは後者です。毎月の支払いを増やせる方は多くないからです。

毎月10万円の返済で、いくらまで借りられるか

毎月10万円を返済に充てられる場合、いくらまで借りられるか。35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで試算しました。

金利 同じ返済額で借りられる額(試算) 0.40%との差
0.40% 3,919万円 —
0.80% 3,662万円 -256万円 ⬇︎
1.20% 3,428万円 -490万円 ⬇︎
1.50% 3,266万円 -653万円 ⬇︎
3.46% 2,433万円 -1,485万円 ⬇︎
この表について

毎月の返済額から逆算した単純な試算です。金額は万円未満を四捨五入しているため、差額の欄は表示金額の引き算と1万円程度ずれる場合があります。
実際に金融機関が認める融資額は、審査金利・返済比率・年収・団体信用生命保険の条件などによって決まるため、この試算とは異なります。必ず金融機関にご確認ください。

毎月払える額が同じでも、金利が0.40%から1.20%に動くだけで、借りられる額は試算上およそ490万円小さくなります。

3,900万円台を見ていた方が、3,400万円台へ。予算3,000万円で土地をお探しだった方なら、同じ返済額で借りられるのは約2,620万円です。

買いたい方の数が減っているわけではありません。一人あたりの上限が下がっているのです。

参考までに、返済額の側から見ると

同じ3,000万円を借りた場合の、毎月の返済額です。条件は上の表と同じです。

金利 毎月返済額 総返済額 0.40%との差(毎月)
0.40% 76,557円 3,215万円 —
0.80% 81,918円 3,441万円 +5,361円 ⬆︎
1.20% 87,511円 3,675万円 +10,954円 ⬆︎
1.50% 91,855円 3,858万円 +15,298円 ⬆︎
3.46% 123,293円 5,178万円 +46,736円 ⬆︎

0.40%と1.20%の差は、毎月およそ1万1,000円。35年の総返済額では約460万円の差になります。

いちばん下の3.46%は、フラット35の2026年9月適用金利(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下の最低金利)です。同じ3,000万円でも、毎月の返済は約4万7,000円増えます。

この仕組みは、すでに審査の現場で働いています

アイさん

それは机の上の計算じゃろ?
実際に金利のせいで買えんようになった人が、おるんかい?

たかの

おられます。実際に、この1年で変わったことがあります。
最初の面談から金利の話をされるお客様が、ほぼ全員になりました。
ただ、ご希望の予算額そのものは去年とあまり変わりません。「3,000万円くらいで」とおっしゃる方は、去年も今年も同じように来られます。
変わったのは、審査の結果のほうです。通ると思っておられた額が、減額されて戻ってくる。
いま予算を下げているのは、お客様ご自身ではありません。審査の結果です。
この項の情報について

有限会社アイ企画が2026年に関わった住宅ローン案件の範囲で起きていることです。件数を集計した統計ではありません。

背景にあるのは、住宅ローンの「審査金利」という仕組みです。

審査金利とは、実際に適用される金利とは別に、金融機関が返済比率(年収に対する年間返済額の割合)を計算するために置く金利のことです。適用金利が毎月の返済額を決めるのに対し、審査金利は借りられる額の上限を決めます。

変動金利で借りる場合も、多くの金融機関は、その低い金利のままでは返済能力を判定しない設計になっているとされています。将来の金利上昇に耐えられるかを確認するためです。同じ年収・同じ適用金利でも金融機関ごとに結果が変わる主因のひとつが、ここにあります。

ただし、審査金利の水準や改定の時期を公表している金融機関はなく、当社が確認できるものでもありません。

ですから、上の試算の表は「借りられる額そのもの」を当てるための表ではありません。金利が0.8%動くだけで、借りられる額が数百万円単位で動く。その仕組みを示した表です。

実際の審査では、これより高い金利で返済能力を判定する設計になっているとされています。そうであれば、削られ方は、この表よりさらに大きくなると考えられます。

約490万円という数字は、審査での減額幅そのものではありません。金額ではなく、動く向きと桁を見ていただければと思います。

では、減額されたお客様は次に何をされるのか。多くの場合、面積を削るのでも、建物のグレードを落とすのでもありません。

三島駅から歩ける範囲をあきらめ、もっと価格の低いゾーンまで探す範囲を広げられます。

予算が縮んだとき、多くの方は面積や建物より先に「場所」を落とされます。

ただし、この順番が当てはまらない層があります。それは後半で触れます。

試算の条件と、ご確認いただきたいこと

この章の金額は、いずれも元利均等返済・ボーナス返済なし・借入期間35年で当社(アイ企画)が計算した参考値です。
表の総返済額は元金と利息の合計であり、保証料・事務手数料・団体信用生命保険料・登記費用などの諸費用は含みません。実際の総支払額はこれより大きくなります。
変動と固定のどちらを選ぶかについては、金融機関やファイナンシャルプランナーへのご相談をおすすめします。有限会社アイ企画は宅地建物取引業者であり、金融商品に関する助言を行う立場にはありません。
金利は毎月見直され、実行日時点の金利が適用されます。
フラット35の行は、団体信用生命保険の取扱いを含む前提を住宅金融支援機構の公表資料でご確認ください。

ところが、三島の地価は下がっていません

金利がここまで上がれば、土地の値段も下がりそうなものです。

ところが、公表されている数字は逆を向いています。

三島市の公示地価は、マイナスからプラスに転じました

三島市の住宅地の公示地価は、令和7年(2025年)にわずかに下がりました。それが令和8年(2026年)にはプラスへ転じています。

価格時点 三島市 住宅地の変動率
令和7年(2025年1月1日時点) ▲0.1% ⬇︎
令和8年(2026年1月1日時点) +0.3% ⬆︎

令和8年の住宅地の平均価格は100,600円/㎡、坪あたり約33万円です。前年は97,500円/㎡でした。

ただし平均価格には、調査地点の入れ替えが含まれます。上の表の変動率(+0.3%)とは、別の数字としてご覧ください。

金利が上がった年に、▲0.1%から+0.3%へ。これが公表データの示していることです。

ひとつ、時点を申し添えます。この+0.3%は2026年1月1日時点の価格で、2026年6月の利上げは、まだ入っていません。

出典

国土交通省 土地鑑定委員会「令和8年地価公示結果」「令和7年地価公示結果」(静岡県公式ホームページ掲載)より。三島市の住宅地は、令和8年が13地点・平均100,600円/㎡、令和7年が平均97,500円/㎡です。変動率は継続地点の平均で、公表値は令和8年が+0.3%(継続12地点)、令和7年が▲0.1%です。坪単価は1坪=3.305785㎡で換算した参考値です。
なお公示地価の「変動率」は継続地点だけの平均であり、「平均価格の前年比」とは別の数字です。価格時点は毎年1月1日です。

アイさん

金利が上がったのに、地価は上がっとるんかい?

たかの

公表されている数字は、そのとおりです。
ただし、これは市内で調べた13地点のうち、継続して調べている12地点をならした平均です。平均という数字は、中身を開けないと何も分かりません。

静岡県全体が横ばいのなかで、三島は上がっています

静岡県全体の住宅地は、令和8年で平均72,300円/㎡、変動率は±0.0%でした。横ばいは2年続いています。

県全体の住宅地が横ばいのなかで、三島市の住宅地は+0.3%と上がっています。価格の水準も、県平均の約1.4倍にあります。

用途別に並べると、中身がもう少し見えてきます。

用途(令和8年・三島市) 平均価格 変動率
全用途(20地点) 128,700円/㎡ +0.8%
住宅地(13地点) 100,600円/㎡ +0.3%
商業地(6地点) 203,500円/㎡ +2.0%
工業地(1地点) 46,700円/㎡ 0.0%
出典

国土交通省 土地鑑定委員会「令和8年地価公示結果」(静岡県公式ホームページ掲載)より。静岡県全体は、全用途が661地点・平均90,700円/㎡・+0.3%、住宅地が457地点・平均72,300円/㎡・±0.0%(2年連続の横ばい)、商業地が平均153,100円/㎡・+0.8%、工業地が平均50,100円/㎡・+0.9%です。

三島市のなかでいちばん上げ幅が大きいのは、商業地の+2.0%でした。住宅地の+0.3%とは、動き方が違います。

※静岡県全体の住宅地は±0.0%のため、グラフには棒が表示されません。

県全体の住宅地が止まっているなかで三島市が上がり、しかも三島市のなかでは住宅地より商業地が強く動いている。この2つは、駅周辺の需要が地価を押し上げているという見方と整合します。

ただし、商業地の6地点に三島駅周辺の地点が含まれるかどうかは、当社では確認できていません。ですから「駅前が押し上げている」と言い切るには、まだ材料が足りません。

中古マンションは、さらに強く動いています

土地より動きが大きいのは、中古マンションです。

三島市の中古マンションの売却相場は、2026年7月時点で前年同月比およそ15%の上昇でした。三島駅エリアに限れば、過去8年で約5割です。

金利が上がっている最中に、この数字が出ています。

出典

当社ブログ記事「三島市のマンション価格が上がる中、戸建て・土地はどうなるか」で、2026年7月時点の相場推移として当社が確認した数値です。三島市全体および三島駅エリアの参考値であり、個別のお部屋の査定額を示すものではありません。相場は随時更新されますので、最新の数値はご確認ください。

成約事例の中身は、こちらの記事で取り上げています。

ここまでは、公表されている数字です。

ここから先は、現場で起きていることをお話しします。

ただし、上がっているのは駅近だけです

この章の情報について

この章に書いていることは、有限会社アイ企画が三島市内で行っている不動産売買のなかで実際に起きていることです。公表統計ではありません。公示地価の地点ごとの内訳を当社が確認できているわけではありませんので、その範囲で見えている話としてお読みください。

先に、言葉の使い方を決めておきます。この記事で郊外と呼んでいるのは、坪20〜35万円台のゾーンです。町名ではなく、価格帯で分けています。

このゾーンは、多くの場合、駅から離れた地域に当たります。ただし同じ町のなかにも、坪40万円台で動く土地と、坪25万円でも手が挙がらない土地が並んでいることがあります。ですから、町名では分けません。

新たに売りに出る物件は、市内全体で増えています

三島市内で新たに売りに出る物件は、1年前より増えています。

増えているのは郊外だけだろう、と思われるかもしれません。

そうではありません。駅の近くでも、郊外でも、同じように増えました。エリアの偏りは、いまのところ見えていません。

増え方は、市内のどこでも変わりません——まず、ここが出発点です。

それでも、すぐ売れる物件があります

増え方は同じでも、出せばすぐ決まる物件があります。

駅近の土地と、中古マンションです。

この2つは、売り出してから決まるまでの期間が短くなっています。問い合わせも、ここに集まっています。

問い合わせをしてこられるのは、首都圏から三島への移住を検討されている方が中心です。三島駅を使えること、駅から歩ける場所であること。この2点を条件の最初に置かれる方が多いという実感があります。

郊外には、問い合わせがほぼ入りません

一方で、郊外の物件はまったく違います。

探す範囲には、郊外まで入っています。予算が縮んだ買い手が、価格の低いゾーンまで候補に入れるようになったからです。

ところが、物件情報を見た段階で止まってしまいます。電話にも、メールにもなりません。

内見まで進んで断られる、申込みの一歩手前で止まる——そういう止まり方ではありません。売主にとっては、いちばん手応えのつかみにくい状態です。

アイさん

駅のそばも、うちの方も、同じように売り物が増えとるんじゃろ?
なら、売れ方も似たようなもんじゃないんかい?

たかの

そこが分かれ目です。
入ってくる量は同じでも、出ていく量がまったく違います。駅の近くは売り出せば消えていき、郊外はそのまま残ります。

平均+0.3%は、2つの動きを混ぜた数字です

新たに売りに出る量は同じように増えても、片方は消えていき、片方は残ります。

違うのは、売りに出る量ではありません。消えるスピードです。

そして、売れ残ったまま積み上がっていくのは郊外の側です。

この差の上に、価格の差が重なっています。同じ三島市でも、坪単価はここまで違います。

区分 坪単価の目安(当社の実感値)
駅から歩ける主要住宅地(この記事でいう駅近) 坪40〜70万円台
この記事でいう郊外 坪20〜35万円台
この表について

この坪単価は、2026年9月時点で当社が実際の売買で扱っている価格帯の実感値であり、公表統計ではありません。国土交通省が公表する公示地価(三島市の住宅地の平均は坪あたり約33万円)とは、調査の目的も対象地点も異なる別の指標です。公示地価は市内13地点の標準地の価格で、駅寄りの地点も価格の低い地点も含まれます。上の表は実際の売買での坪単価の目安であり、対象となる土地も区分も対応しません。
また同じ町のなかでも、間口・接道・高低差・用途地域によって評価は大きく変わります。個別の価格を保証するものではありません。

三島駅のすぐ近くは、この表よりさらに高い水準になります。当社の扱いでも、この表の上限側に寄ります。

市内の住宅地に幅があること自体は、公表資料でも見えます。令和8年(2026年)の地価公示で、三島市の住宅地でいちばん高い地点は181,000円/㎡、坪あたり約60万円でした。市の平均(坪あたり約33万円)の、およそ1.8倍です。

出典

国土交通省 土地鑑定委員会「令和8年地価公示結果」(静岡県公表資料)より。三島市の住宅地の最高価格地点は181,000円/㎡、13地点の平均価格は100,600円/㎡です。坪単価は1坪=3.305785㎡で換算した参考値です。なお、公示地価の地点ごとの変動率はここでは扱っていません。2026年7月1日時点の基準地価の地点ごとの動きは、まとめの章でご紹介します。

市全体の平均が+0.3%でも、それは上がっている場所と、止まっている場所を混ぜた結果です。

ご自身の不動産がどちらの側にあるのかは、平均を見ても分かりません。売るかどうかを決める前に、いまの位置だけでもご確認ください。

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参考
三島市の土地相場・地価マップ町名別に相場を確認できます

なぜ郊外だけが残るのか。その理由に入る前に、駅の近くがなぜ下がらないのかを先に押さえます。

なぜ駅近だけが下がらないのか|三島に固有の3つの理由

金利が上がっても駅近が下がらない。これは全国どこでも同じことが起きている、という話ではありません。

三島には三島の事情があります。現場で見えている理由を、3つに整理します。郊外の話には、次の章で戻ります。

理由1 三島駅南口の再開発が進んでいます

三島駅南口では、再開発の計画が進められています。その影響は、まず駅前の商業地に出ているのではないかと見ています。

先に見たとおり、令和8年(2026年)の地価公示では、三島市の商業地が+2.0%。住宅地の+0.3%と比べると、上がり方の差がはっきりしています。

出典・ご確認ください

商業地・住宅地の数値は国土交通省 土地鑑定委員会「令和8年地価公示結果」(静岡県公表資料)より。詳細は前掲の出典をご覧ください。
再開発の計画の内容と進捗は、三島市または事業者の公表資料でご確認ください。当社が事業の進み方を確認できる立場にはありません。

商業地が動けば、周辺の住宅地も引っ張られやすくなります。駅前がこれからどうなるかを見たうえで住まいを探す方が、出てくるためです。

そして、ここが大事なところです。再開発は、住宅ローンの金利とは別の理屈で動きます。

企業が土地や建物に投資するかどうかと、個人がローンをいくら組めるかは、別の話です。

ただし、再開発の計画は内容も時期も変わることがあります。この先ずっと同じ形で進むという前提で、当社も見てはいません。

三島駅南口の再開発については、こちらでまとめています。

理由2 買っているのは、首都圏から移り住む方です

駅近の土地や中古マンションに問い合わせをされるのは、先に触れたとおり、首都圏から三島への移住を検討されている方が中心です。

この層は、金利が上がっても止まりにくい傾向があります。三島を選ぶ動機が、価格ではないからです。

通勤にどれだけ時間がかかるか。そこでどう暮らすか。この2点で決めておられます。三島駅から東海道新幹線で首都圏に出られるという条件は、金利が動いても変わりません。

ただし、この層も予算は縮んでいます。では、何から削るか。

駅から歩ける範囲のなかで、より狭く、より駅から離れた側へ動きます。それでも、歩いて行ける範囲そのものは手放されません。

記事の前半で、予算が縮んだときは「場所」を落とされる方が多いと申し上げました。その順番と、この層だけは逆になります。

アイさん

東京から移ってくる人は、金利が上がっても平気なんかい?

たかの

東京にかぎらず、首都圏から来られる方ということですね。
平気ということはありません。予算は同じように縮んでいます。
ただ、削る順番が違うのです。面積や築年数を先に削って、駅からの距離は最後まで残されます。
三島に移る理由が、駅の近さそのものだからです。

ここが郊外との違いです。予算が縮んだとき、駅近の買い手は「駅近のなかで」条件を落とされます。価格帯ごと降りてくる買い手とは、探し方が違います。

理由3 買い手が中古マンションに向かっています

駅近の土地は数が少なく、当社が扱う範囲では売り出せば決まるケースが続いています。そのため、値下げをして売り出す例はあまり見ていません。

そこで、総額を組み立てやすい中古マンションにも需要が向かっています。

予算が縮んだ状態で駅から歩ける場所に住もうとすると、土地を買って家を建てるよりも、すでに建っているマンションのほうが総額をまとめやすいためです。

先ほど見たおよそ15%という上昇は、この動きの結果だと受け止めています。

駅近の需要は、中古マンションが受け止めている形です。ただし、今後も同じ状態が続くとは限りません。

くわしくは、記事の前半で紹介した成約事例のとおりです。

ただし、人口が減るという前提は変わっていません

ここまでの3つは、駅の近くが下がらない理由です。最後に、この3つの限界にも触れておきます。

当社は2020年に、「三島市の土地価格相場は2030年までに下降する」という記事を公開しています。根拠は、人口減少、少子高齢化、空き家の増加でした。

この予想は、駅近については当たっていません。

外れている理由は、この記事で挙げたとおりです。当時想定していなかった三島駅南口の再開発と、首都圏からの移住需要。この2つが、人口減少の影響を上回っています。

一方、坪20〜35万円台のゾーンについては、公示地価の上では横ばいでも、成約が動いていません。こちらは、まだ結論が出たとは考えていません。

そして、人口が減っていくという前提そのものは、何も変わっていません。

下がらなくなったのではなく、下がる時期が先送りされているだけ、という可能性は残ります。

たかの

37年この街で不動産を見てきた一人の人間の実感として申し上げると、再開発と移住需要が、この先ずっと効き続けるとは思っていません。
かといって、いつどう変わるかを言い当てられるとも思っていません。
だから当社は、予想ではなく、いま現場で何が起きているかをお伝えするようにしています。

2020年に公開した予想の記事は、こちらです。

いま注意が必要なのは、市の平均を基準に値付けをしている売主です

買い手が探す範囲は、すでに郊外まで広がっています

金利が上がると、同じ返済額で借りられる額は小さくなります。毎月10万円の返済で見れば、その差は約490万円。記事の前半で見たとおりの試算です。

予算が縮んだとき、多くの買い手が最初に落とすのは「場所」だと、さきほど申し上げました。

駅から歩ける範囲をあきらめ、探す範囲を郊外まで広げる。そういう動きになります。

もう一度申し上げますと、郊外と呼んでいるのは坪20〜35万円台のゾーンで、町名ではなく価格帯で分けています。

このゾーンにとっては、本来なら買い手が増えているはずの局面です。

それでも、問い合わせにはなりません

ところが、このゾーンの物件に問い合わせはほとんど入っていません。

当社に届く問い合わせは、駅の近くに集中しています。

現地まで足を運んで断られるのではありません。価格を見た時点で、問い合わせにすらならないのです。

探す範囲には入っています。それでも、電話もメールも鳴りません。

ここに、いまの三島市でいちばん見落とされている食い違いがあります。

値付けが、市の平均に引っ張られたままです

いちばん大きい理由はひとつだと見ています。このゾーンの値付けが、下がっていないからです。

「三島の地価は上がっている」というニュースは、市全体を平均した話です。

令和8年(2026年)の地価公示で、三島市の住宅地の平均変動率は+0.3%でした。ただしこれは、市内13地点のうち継続12地点の平均です。

先に見たとおり、この平均には、市の平均のおよそ1.8倍にあたる地点まで含まれています。

県全体の住宅地が横ばいのなかで、三島市の商業地は+2.0%と強く動いています。当社に届く問い合わせも、駅の近くに偏っています。

そして7月1日時点の基準地価では、地点ごとの変動率が公表されました。価格の高い地点ほど大きく上がり、坪20〜35万円台の地点はほぼ横ばいでした(まとめの章でグラフにしています)。

この平均を基準に「三島は上がっているのだから、この値段でいけるはずだ」と値付けをすると、坪20〜35万円台のゾーンでは相場から外れます。

予算を落として、探す範囲をこのゾーンまで広げた買い手にとっても、まだ届かない金額になっているからだと考えています。

売れない理由は、買い手がいないことではありません。値段が、探す範囲を広げた買い手に届いていないことです。

査定額の見方については、こちらでも書いています。

売れ残って積み上がるのは、このゾーンです

新たに売りに出る量に大きな偏りがないことは、さきほど申し上げました。

違うのは、そのあとです。駅近は売り出せば消えていき、坪20〜35万円台のゾーンは残ります。売れ残ったまま積み上がっていくのは、こちら側です。

売る側から見れば、同じゾーンの競合が増えたということになります。

37年この街で不動産を見てきた一人の人間の実感として申し上げると、売り出してから決まるまでの期間も少し延びました。ただしこれは日々の商談から受ける印象であり、数字でお示しできるものではありません。

買える額が縮んだ市場で、売れ残りだけが積み上がっていきます。そうなれば、買い手が見る順番が後ろに回る物件が出てきます。

買い手の候補から外れやすい3つのケース

値付けのほかにも、買い手が見る順番が後ろに回る要因があります。次の3つに当てはまる不動産は、予算が縮んだ買い手の候補から真っ先に外れやすいと考えています。

  • 坪20〜35万円台のゾーンにある土地:予算に余裕のない買い手ほど価格に敏感で、相場から離れた値付けは避けられます。
  • 買い手がローンを組みにくい物件:再建築不可(建て替えが原則できない土地)や市街化調整区域(新築が原則として制限される区域)などです。借りられる額が削られている局面では、融資の付きにくさがそのまま候補外につながります。
  • 相続してから時間が経っている空き家:管理の手間や修繕費を見込まれ、価格交渉の対象になりやすくなります。

なお、再建築ができるかどうか、どの区域に当たるかは土地ごとに判断が分かれます。三島市の窓口と建築士にご確認ください。

いずれも「売れない」という意味ではありません。買い手が見る順番が、後ろに回りやすいということです。

適正な価格は、間口・接道・高低差・用途地域といった個別の事情によって変わります。値下げが必要かどうかは、現地を確認したうえでご判断ください。

たかの

「今が売り時です」と申し上げるつもりはありません。
ただ、買い手の財布は、ご本人の希望とは関係なく、審査の結果によって小さくなっています。当社がご相談を受けた範囲での話で、件数を集計したものではありません。
そして小さくなった予算は、駅に近いところから順に埋まっていきます。
ご自身の土地がその順番のどのあたりにあるのかは、現地を見なければ分からないことです。

三島市内であれば、訪問査定を無料で承ります(査定書の作成費・出張費も含みます)。ご自身の不動産がいまどの位置にあるのかだけでも、確認しておいてください。

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買う側は、何を見て判断すればいいか

ここからは購入を検討されている方へ

売却をお考えの方は、このまま「まとめ」へお進みいただいて差し支えありません。

ここまでは売る側の話が中心でした。買う側にも触れておきます。

金利が上がったいま、家を買うべきか|「下がるまで待つ」の落とし穴

「金利が下がるまで待てば、価格も下がっているのではないか」というご相談をいただきます。

そう考えたくなるお気持ちは、よく分かります。ただし、待つあいだに価格が下がるという保証はありません。

実際、金利が上がりはじめたあとの令和8年(2026年)1月1日時点でも、三島市の住宅地の公示地価は下がっていません。変動率は+0.3%でした。6月の利上げ後にあたる7月1日時点の基準地価でも、三島市の住宅地は+1.1%と下がっていません。

出典

国土交通省 土地鑑定委員会「令和8年地価公示結果」(価格時点2026年1月1日)、静岡県「令和8年静岡県地価調査結果」(価格時点2026年7月1日)より。詳細は前掲およびまとめの章の出典をご覧ください。

待つあいだに価格が上がれば、その分だけ条件は厳しくなります。逆に、金利も価格もそろって下がることもあり得ます。どちらになるかは、当社にも分かりません。

「いま買うべきです」と申し上げているのではありません。「待てば安く買える」もまた、保証のない見通しだということです。

金利は借り換えられますが、立地は借り換えられません

金利の話になると、「変動と固定、どちらがいいのか」というご質問をたびたびいただきます。

この記事では、その結論を出しません。当社が申し上げる領域ではないからです。

ご注意

住宅ローンの商品選択(変動・固定)や借入額、返済計画については、お取引先の金融機関またはファイナンシャルプランナーにご相談ください。有限会社アイ企画は宅地建物取引業者であり、金融商品に関する助言を行う立場にはありません。実際に借りられる額や適用される金利は、審査の結果や融資実行日によって異なります。

代わりに、不動産屋として申し上げられることがあります。同じ予算で、エリアを取るか、面積を取るか。この判断が、以前より重くなりました。

予算が縮んだとき、多くの方は場所を落として面積を確保されます。それもひとつの考え方です。

ひとつだけ、申し上げておきます。

金利は、条件が変われば見直す手立てがあります(その時点の審査によりますので、いつでもできるとは限りません)。建物も、条件が整えば建て替えることができます。ただし再建築不可の土地など、建て替えが原則できない場合もあります。

あとから変えられないのは、その土地がどこにあるかです。

金利は借り換えられますが、立地は借り換えられません。

だからこそ、いま見ている場所が10年後にどうなり得るかを、買う前に確認しておいてください。これは土地の値上がりや値下がりを保証する話ではありません。

土地を見るときの確認手順は、別の記事にまとめています。

まとめ:上がっているのは駅近だけです|三島の土地相場は、基準地価で答え合わせができました

ここまでの話は、2026年9月上旬に書いたものです。その後、9月15日に国土交通省が、9月16日に静岡県が、令和8年(2026年)の基準地価を公表しました。

地価公示は毎年1月1日時点、基準地価は毎年7月1日時点の価格です。基準地価は、6月の利上げのあとに初めて出た公的な地価データになります。

三島市の住宅地は+1.1%。県全体は下落が続いています

区分 平均価格 変動率 前年の変動率
静岡県 住宅地 64,900円/㎡ ▲0.1% ▲0.1%
静岡県 商業地 149,400円/㎡ +0.9% +0.7%
三島市 住宅地 114,900円/㎡ +1.1% +0.9%
三島市 商業地 234,500円/㎡ +3.0% +3.2%
出典

静岡県「令和8年静岡県地価調査結果」(2026年9月16日公表)資料1より。価格時点は2026年7月1日。変動率は継続地点の平均です。三島市は住宅地9地点、商業地4地点。全国の平均変動率は住宅地+1.0%、商業地+2.9%(地方圏は住宅地+0.1%、商業地+0.9%)でした。

静岡県全体の住宅地は▲0.1%で、基準地価では18年続けて下がっています。そのなかで三島市の住宅地は+1.1%と、県内で2番目の上げ幅でした。

なお、1月1日時点の公示地価(+0.3%)とこの基準地価(+1.1%)は、調べている地点がそもそも違います。2つを並べて「半年で上昇が強まった」と読むことはできません。

価格の高い地点ほど上がり、坪20〜35万円台はほぼ横ばいでした

基準地価は、地点ごとの変動率が公表されています。三島市の住宅地9地点を、価格の低い順に並べました。

基準地の価格水準 地点数 平均変動率
坪40万円以上 4地点 +2.7%
坪20〜35万円台(この記事でいう郊外) 4地点 +0.3%
それより低い地点(坪約12万円) 1地点 ▲1.9%
出典

静岡県「令和8年静岡県地価調査結果」資料2(基準地標準価格・変動率一覧)をもとに当社が集計しました。坪単価は1坪=3.305785㎡で換算した参考値です。9地点の単純平均は+1.1%、平均価格は114,944円/㎡で、県の公表値(+1.1%、114,900円/㎡)と一致します。町名は、この記事の方針により記載していません。

この記事の見立てどおり、上がり方は価格の高い側に偏っていました。

一方で、坪20〜35万円台の地点も、下がってはいません。ほぼ横ばいです。「上がっているのは駅近だけ」と申し上げてきましたが、正確に言えば、大きく上がっているのは価格の高い側で、郊外の価格帯は止まっている、ということです。

止まっている価格帯で、「三島は上がっている」という市の平均を基準に値付けをすれば、相場から外れます。この記事の結論は変わりません。

金利は、この間にもう一段上がりました。日本銀行は9月18日に、政策金利を1.25%程度へ引き上げています。7月1日時点の基準地価には、この利上げはまだ入っていません。

次に出る公的な地価データは、2027年(令和9年)1月1日時点の地価公示です。例年3月に公表されます。

アイさん

ほんで、結局のところ、いまは売り時なんかい?

たかの

「三島だから売り時です」とは申しません。市の平均が上がっていても、ご自身の土地に買い手が来るかどうかは、別の話だからです。
ただ、当社が扱った物件の範囲では、はっきりしたことが、ひとつあります。買い手が来る場所と、来ない場所の差が、去年よりはっきり分かれました。
ご自身の土地がどちらなのか。売るかどうかを決めるのは、そこを確認してからでも遅くありません。
三島市内であれば、訪問査定を無料で承ります(査定書の作成費・出張費も含みます)。

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