三島市の土地、昔は何だった?「土地の記憶」マップの使い方と、私が地形から選ぶ理由

気になる土地を見つけたとき、価格や広さ、駅からの距離は広告を見れば分かります。

では、その土地が「もともとどんな場所だったか」は、どこで確認すればよいでしょうか。

もとは田畑だったのか、水がたまりやすい低地なのか、斜面を削って造られた土地なのか。こうした土地の来歴は、長く住んでいる方の記憶の中にありました。

住む人が入れ替われば、その記憶は伝わりにくくなります。

たかの

三島市で土地売買の仲介をしている、アイ企画の たかの です。

当社では、三島市の約60年前の航空写真と現在の地形を同じ画面で見比べられる無料の地図「三島・土地の記憶」を公開しています。

この記事では、まず私自身が自分のお金で三島の不動産を買うときに、この地図をどう使っているかをお話しします。

そのうえで具体的な使い方と、この地図をつくった思いをお伝えします。

私が自分のお金で三島の不動産を買うとき、最初に見るのは「地形」です

私は仲介の仕事をしながら、自分自身も三島市内の不動産に投資しています。

対象は更地だけでなく、中古の戸建住宅や古民家も含みます。

お客様にお伝えしている土地の選び方は、自分がお金を出すときの選び方と同じです。この記事で紹介する見方も、そのまま自分の判断に使っています。

アイさん

自分の金を出すときは、やっぱり慎重になるじゃろ?

たかの

なります。

だからこそ、見る順番を決めています。

最初に見るのは、利回りでも駅からの距離でもありません。その土地がどういう成り立ちの場所かです。

ここを飛ばして価格から入ると、判断を間違えます。

割安な土地には、割安な理由がある

三島市内には、価格は魅力的でも災害のリスクを抱えた土地があります。

私は自分の資金を投じる物件では、当社の災害リスクマップで浸水・土砂災害・がけ条例の規制を必ず確認し、リスクのある物件には原則として手を出しません。

この考え方はなぜ三島?不動産のプロが自腹で投資し続ける6つの理由で詳しく書きました。

川沿いの土地は、低地だと分かったうえで買いました

ただ、例外もあります。私が購入した土地のなかに、川沿いでロケーションの良い場所があります。

地形分類で見れば、そこは低地です。

それでも購入しました。低地だから買わない、

ではありません。低地だと分かったうえで、条件を整えて買う。その違いだと考えています。

三島の川沿いには、湧水が流れる水辺という代えのきかない環境があります。

そしてこの価値は、査定の仕組みのなかでは評価されにくい。この点は別の記事で詳しく書きました。

「低地」と「浸水想定区域」は同じではありません

地形分類の「低地」は、土地の成り立ちを示す区分です。

公式の浸水想定区域に入っているかどうかは、別に確認する必要があります。低地でも想定区域に入っていない場所はあり、その逆もあります。

だから順番が大事です。まず地形でその土地の素性を知り、次に公式の想定を確認する。私が買った土地も、この順番で確かめています。

たかの

怖いのは、低地であること自体ではありません。知らずに買うことです。
知って買えば、備え方も、価格への織り込み方も考えられます。

知らずに買えば、その機会がないまま引き渡しを受けることになります。

災害リスクマップは「結果」、記憶の地図は「理由」

浸水想定や土砂災害警戒区域は、いまの想定を示した結果の地図です。

これに対して、地形分類と昔の航空写真が示すのは、その結果を生んでいる理由——土地の成り立ちのほうです。

水がたまりやすい低地なのか、かつて川が流れていた跡なのか、谷を埋めて造られた土地なのか。理由が分かると、次に確認することが決まります。

見る地図 確かめること
1 記憶の地図 地形と約60年前の姿。その土地の素性を知る
2 災害リスクマップ 浸水・土砂災害・津波の想定を確認する
3 がけ条例マップ 擁壁など、追加費用が生じる可能性を確認する
4 用途地域マップ 建てられるもの、隣に建ち得るものを確認する
5 地価マップ 相場と照らして、価格の妥当性を考える

この順番にも理由があります。価格から入ると、価格に合わせて土地を納得してしまいます。

成り立ちから入れば、価格の理由のほうが見えてきます。

たかの

私が投資しているのは「三島市」ではなく、駅から歩けるエリアです。

ただ、駅に近ければどこでもよいわけでもありません。

同じ町の中でも、数十メートル離れれば土地の成り立ちは変わります。

便利さと、土地の素性は、別々に確かめる。これが自分の資金を出すときの基準です。

この見方をしておくと、不動産会社への質問も具体的になります。

「造成前はどんな土地でしたか」「擁壁や造成の記録は残っていますか」。土地を買う前に確認したいこと全体は、次の記事にまとめています。

個別の物件については触れられませんが、考え方はすべて公開しています。

なお本記事は、特定の物件や投資手法をおすすめするものではありません。

ご購入・ご投資の判断は、公式情報と専門家の調査をふまえてご自身で行ってください。

「三島・土地の記憶」で分かる4つのこと

このマップは、次の4つを同じ場所・同じ縮尺で重ねて見られるようにした地図です。

  • 昔と今の航空写真 — 1961〜1969年の空中写真と現在の写真を、画面中央の境界バーで見比べられます
  • 自然地形 — 台地・段丘、氾濫平野、旧河道、崖・急斜面など、土地の成り立ちを色で表示します
  • 造成の記録 — 切土地・盛土地など、人の手で地形が変えられた場所を、必要なときだけ追加表示できます
  • 将来人口とまちの方針 — 三島市の人口推計と、立地適正化計画の居住誘導区域・都市機能誘導区域を確認できます

もとになっているのは、国土地理院の航空写真・地形分類(実験公開データ)と、三島市の立地適正化計画・人口統計といった公開情報です。

当社が独自に危険度を判定したものではありません。

マップの使い方——5つのステップ

ここからは操作の話です。登録は不要で、スマートフォンでも同じように使えます。

ステップ1 住所・地番を入れて、自分の土地を表示する

三島・土地の記憶を開き、「住所・地番から調べる」を選んで、検索窓に住所を入力します(例:三島市加茂18-7)。地図がその地点へ移動し、「この地点の自然地形」が表示されます。

検索には国土地理院の住所検索を使っているため、結果には「おおよその位置です」と表示されます。1筆ごとの境界を示すものではありません。区画(筆)の形やがけ条例の対象かどうかを地番単位で見たい場合は、三島市 土地 がけ条例チェックマップをご利用ください。

たかの

試しに当社の事務所(三島市加茂18-7)を検索すると、「低地/氾濫平野・海岸平野」と表示されます。

まず自分の足元の成り立ちを知ると、地図の色の意味が急に身近になります。

ステップ2 地形の色を読む——オレンジと青

このマップでいちばん大事なのは、オレンジと青の違いです。

表示 主な分類 このマップでの読み方
オレンジ 台地・段丘、扇状地 周囲の低地より比較的高い地形
氾濫平野、旧河道など 水がたまりやすい成り立ちの低地
水色 切土地 斜面などを削って造成した人工地形
盛土地 土を盛って造成した人工地形

「凡例・詳しい分類」を開くと、台地・段丘/氾濫平野/旧河道/崖・急斜面を個別に切り替えられ、地形色の濃さ(写真優先・バランス・地形優先)も調整できます。切土・盛土の表示は、情報が多くなりすぎないよう初期状態では非表示で、住所検索後または拡大時に追加できます。

アイさん

青いところは、住んじゃいかんということかの?

たかの

いいえ、そういう意味ではありません。三島の市街地は低地にも広く展開していて、当社の事務所もそのひとつです。
青は「危険」の印ではなく、水がたまりやすい成り立ちだから、公式のハザード情報も見ておこうという目印です。同じ分類でも、標高、周辺の河川、造成の状態、対策工事の有無によって条件は変わります。

ステップ3 地点をタップして「成り立ち」と「一般的なリスク」を見る

色がついた場所をタップ(パソコンではクリック)すると、その地点の自然地形の名前と成り立ちの説明が表示されます。台地・段丘なら「周囲より階段状に高くなった平坦な土地」、氾濫平野なら「洪水で運ばれた砂や泥が河川周辺に堆積してできた、低くて平坦な土地」といった説明です。

さらに「もっと詳しく|成り立ち・造成・まちの位置づけ」を開くと、次の3つを確認できます。

  • 土地の成り立ち — その地形がどのようにできたか
  • 一般的な自然災害リスク — その地形分類について一般に言われる傾向(河川氾濫、崖崩れ、地震の揺れ、液状化など)
  • この地点の造成の記録 — 切土・盛土などの記録(データがない地点は「データを確認できません」と表示されます)

あわせて、その場から「昔の写真を大きく見る(地形の色を外します)」「同じ場所の災害リスクを見る」へ移動できます。ここに表示されるのは地形分類ごとの一般的な傾向で、個別の土地の危険度を判定したものではありません。

ステップ4 境界バーで、60年前と現在を見比べる

画面上部に「昔|1961〜69年」「今|現在」の表示があり、中央の境界バーを左右に動かすと写真が入れ替わります。「写真だけ見る」に切り替えると地形の色が外れ、当時の田畑や水路、道の形がはっきり見えます。着眼点は3つです。

  • まわりが田畑だったか — 低地の田畑が住宅地に変わった場所では、宅地にする際に造成が行われていることがあります。記録の有無は造成地表示で確認できます
  • 川や水路の位置が変わっていないか — 旧河道は、かつて川が流れていた跡です
  • 斜面や谷が埋められていないか — 谷を埋めた造成地か、もともと平坦な土地だったかで、地盤調査の結果の見方も変わります

なお旧写真は国土地理院のタイルを使っているため、未整備の範囲や一時的に取得できない範囲があります。

その場合は現在の写真で代用せず、画面に状態を表示します。

撮影年も場所によって異なるため、画面では「1961〜69年」と表記しています。

ステップ5 まちの方針(誘導区域)を重ねる

「凡例・詳しい分類」の「誘導区域を重ねる」を有効にすると、三島市の立地適正化計画(令和7年2月改定)の区域が境界線で表示されます。

緑の線が居住誘導区域(居住を緩やかに誘導する区域)、紫の線が都市機能誘導区域(医療・福祉・商業などを誘導する生活拠点で、市内5拠点)です。

三島市は2035年を計画年次として、コンパクトな市街地と人口密度を維持し、生活拠点と居住地を公共交通で結ぶ「コンパクト+ネットワーク」の考え方でまちづくりを進めています。

市街地を直ちに縮小する制度ではありませんが、区域外では一定規模以上の開発・建築などについて届出が必要とされています。該当しそうな場合は、三島市の担当課へご確認ください。

アイさん

緑の線の中なら安心ということかの?

たかの

そうではありません。居住誘導区域は「安全な土地」の認定ではありません。

区域の中にも青い低地はあり、水害や土砂災害のリスクは残ります。

地形と公式のハザード情報は、区域とは別に確認してください。

区域境界についての注意

地図の区域境界は、国土数値情報(令和元年公表時点)をもとにした参考表示です。最新の個別境界は三島市都市計画課で要確認です。

土地をお持ちの方、売却をお考えの方にも

この地図は、これから買う方だけのものではありません。

  • 買主様からの質問に備えられます — 地形や水害について尋ねられる機会は増えています。ご自身の土地の成り立ちを先に把握しておくと、落ち着いて説明できます
  • 売り時や活用を考える材料になります — 所有地が居住誘導区域の内か外か、生活拠点との位置関係はどうか。まちの方針との距離感が分かります
  • 離れた土地でも確認できます — 相続した土地や空き家など、現地に足を運びにくい場合も、成り立ちと周辺の変化を地図で追えます

人口の動きも、同じ画面で見られます。

三島市の人口は2026年6月30日現在で103,301人(住民基本台帳)。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2035年に95,017人、2050年に82,914人です。

当社が町別に2019年と2026年を比べたところ、比較できた56町のうち51町で人口が減っていました(いずれも推計・集計であり、将来を保証するものではありません)。

広がった市街地で、道路・上下水道といったインフラと、医療・買い物・公共交通などの生活サービスをどう維持していくか。どこで暮らすかを選び直す視点は、これから価格や駅距離と並ぶ物差しになると考えています。

このマップで分からないこと

大切な点なので、はっきり書いておきます。

  • 個別の土地の安全性・浸水深・地盤の強さは判定できません
  • 建築規制(用途地域、建ぺい率・容積率、市街化調整区域での建築可否など)は分かりません
  • 1筆ごとの境界や区画の形は分かりません
  • 地形分類は実験公開データで、危険度そのものを示す図ではありません

浸水や土砂災害は三島市総合防災マップなどの公式情報で、建築の可否や規制は三島市の窓口・建築士へ。

購入や建築を具体的に検討する段階では、専門家の調査と契約前の重要事項説明で必ずご確認ください。

この地図をつくった思い

最後に、なぜこの地図をつくったのかをお話しさせてください。

当社の災害リスクマップは、正直に言えば自分の投資判断のためにつくったものでした。この「土地の記憶」は、少し違います。

たかの

きっかけは、昔の航空写真を眺めていたときのことです。
いま住宅が並ぶ場所に田畑が広がり、道や川に沿ってまちが育ってきたことが見えてきました。

見慣れた景色にも、積み重ねられた時間と、人の暮らしがある。昔の三島を知ると、いつもの景色が少し違って見えてくる。
そのおもしろさを、地元の方にも、これから三島に住む方にも知ってほしいと思いました。

私たちが暮らし、仕事をしているこのまちを、もっと好きになってもらいたい。それがいちばんの動機です。

もう一つの理由は、冒頭に書いたことです。土地の記憶は、長く住んだ方の中にありました。「昔ここは田んぼだった」「うちの前を川が流れていた」。その知識は、住む人が入れ替われば受け継がれません。

人から人へ伝わりにくくなったのなら、地図で確かめられるようにすればいい。昔の航空写真、地形、人口、まちの方針を一つの画面につないだのは、そのためです。

私たちは三島で、土地や住まいに関わる仕事をしています。価格や便利さだけでなく、このまちがどのようにでき、どんな時間を重ねて今の姿になったのかも一緒にお伝えしたい。そう考えています。

たかの

この地図は、土地の安全性や将来の価値を決めるものではありません。三島とその土地を丁寧に見つめ、公式情報や現地を確かめるきっかけとして使っていただけたらうれしいです。
この地図をきっかけに、見慣れた道や町並みに新しい発見が生まれたなら、つくり手としてこれほどうれしいことはありません。

まとめ:この記事の要点

たかの

この記事の要点をまとめます。
要点
1 価格より先に、土地の成り立ちを見る。見る順番を変えるだけで、判断の材料が変わります
2 地形分類の「低地」と、公式の浸水想定区域は別のもの。低地だから避けるのではなく、知ったうえで判断します
3 見る順番は、記憶の地図 → 災害リスクマップ → がけ条例マップ → 用途地域マップ → 地価マップ
4 このマップで分かるのは成り立ちまで。安全性・規制は公式情報と専門家の確認が必要です

たかの

価格や駅からの近さを否定するつもりはありません。それにもう一つの物差しを重ねて考えたい——三島で不動産に携わる私の考えです。
自分のお金を出すときも、お客様にご案内するときも、見る順番は同じです。気になる土地が見つかったら、地形と昔の姿も一緒に確認します。お気軽にご相談ください。
三島市の土地・住まいのご相談
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候補地の地形や造成の履歴、誘導区域との関係について、購入前・売却前の確認をお手伝いしています。
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